スタッフから一言②

スタッフから一言②

 今年度より初めてラパスから車で6時間ほど北へ行った『ロレト』というUABCSの分校がある小さな町でフィールドワークが行われました。そこへ行くまでの車中の景色は、ごつごつとした褐色の石が転がる山や、一定間隔で3,4メートルのサボテンが生えている低木地帯など、メキシコへ初めて訪れた自分にはもう、珍しくて仕方ありませんでした。ロレトへ着いた直後ハリケーンが襲来し、私たちは2日ほどホテルの部屋に缶詰になりました。ロレト分校の方々は、せっかく来たのに何もできずに居る鳥取大学の学生を大変気の毒がったり、気を遣って下さったようですが、私自身はメキシコでは珍しいという嵐を体験できて貴重な思い出になったと思いました。

 4日目くらいからはハリケーンも通り過ぎ、メキシコの本領発揮といった天候の下での授業が始まりました。立っているだけでも、じりじりと皮膚が焼かれていくのが分かるほど強烈な太陽を感じました。フィールドワークでは、UABCSのバスでロレトからさらに3時間ほど北にある町まで行って、環境破壊の問題や野山、海岸地帯にある草木を手に取って図鑑と見比べて植生を調べたりしました。

 ロレトでの最後の授業は1泊2日のキャンプでした。ロレトから少し離れたイスラ・コロナドという無人島に泊まったのですが、この島は非常にいろんな顔を持った島で、シュノーケリングでアシカや魚との触れ合いが出来たり、人の姿がまるっきり見えない白くて美しい遠浅の海岸で遊べたり、UABCSの先生に連れ立っていただき島の中をいろんな植物を訪ねて歩き回ったりしました。私は大きなアシカが恐ろしく、日本で水着まで買って持って来ていたのに、海にどうしても入ることができませんでした。その点学生さんたちは、アシカを見るなり歓声を上げ嬉々として海に次々と飛び込んでいたのが、とても印象的でした。「怖くないですか」と尋ねたところ「アシカは人間なんて相手にしていませんよ」と答えられました。確かに、数多い観光客に対していちいち反応していたらアシカも疲れるだろう、と思いました。

 翌日は私たちの班は、島からロレトの町までカヤックで帰ることになりました。私はカヤックに乗るのは初めてで、海上でひっくり返って溺れないか非常に心配でしたが、海とはいえ湖よりも穏やかで透き通った海面に夢中になって、学生さんたちが「マンタがいたよ!」とか「あれイルカじゃない!」と言うたびにキョロキョロしているうちに、あっという間にロレトに着いてしまいました。無人島での1泊2日ということで、大変緊張していたのですが、本学の指導教員とロレトの方々の支援のおかげで、学生さんたちは安全に実り多い時間を過ごすことができました。

 自分にとっては初めてメキシコという国を体験させていただきましたが、日本と違う気候や風景、道路事情等で混乱する中、ラパスやロレトに住む人たちの気さくな人柄に触れることができました。道を歩いていても「Hola(やあ)!」と知らない人に声を掛けるのが習慣のこの町のことを、もっと知ってみたいと思えた数週間でした。

 

『歓迎 鳥取大学』と書いてあります

 

 

ロレトでの授業風景

 

 

ロレトの中心地

(K.K.)