6期 メキシコ

僕は現在、日本と約14時間の時差のある中南米の国、メキシコで修士論文の研究と研究所でのインターンシップをしています。

大学生活は自由な時間のある「人生の夏休み」だと聞いたことがあります。そしてその「夏休み」を楽しみを見つけ何かで充実させた時間にするのか、なんとなーく過ごして最後に宿題に追われるのかはその人次第なんだと思います。僕にとって留学したことは恐らく人生に1度の「夏休み」を有意義だったといえる一つの思い出となっています。もちろん、充実した「夏休み」= 留学経験とは限りません。でももし、留学に興味はあるけど…と行くことを悩んでいたり、何か新しいことしてみたいけど何をしたらいいかと悩んでいるのなら僕は思い切って海外に出てみることをお勧めします!「知らないから、わからないから、できないから、行かない。やらない。」ではなく、そうだからこそ一歩を踏み出して挑戦してみるとで、これまでの自分では知りえなかった新しい世界、新しい出会い、新しい価値観そして新しい自分に出会えると思います。そして、その経験は「人生の夏休み」を充実させるだけでなく、きっとこれからの人生を豊かにしてくれるきっかけになるはず!

 

第1回

Hola!! トビタテ留学Japan日本代表プログラム(6期)で現在メキシコに留学中です!僕は現在、メキシコの南バハカルフォルニア州のLa Paz(ラパス)という町にあるメキシコ北西部生物学研究所(CIBNOR)で乾燥地でのバイオ燃料植物生産の実用化を目指し、研究活動をしています!

このCIBNORが位置するLa Pazはスペイン語で「平和」という意味なのですが、この留学の始まりは決して平和とは言えないものでした。ロサンゼルス経由でメキシコ入りする予定がまさかの南バハカルフォルニア州にハリケーンが直撃し、フライトが欠航に。初めての一人での海外留学なのに航空会社に交渉することに。拙い英語を使ってチェックインカウンターで乗るはずであった便の欠航を伝え、次の便への変更をお願いしたのですが、まさかの次のフライトは2日後。フライトの欠航に伴うホテルなどのサービスがあるのか聞いてみると、「天候による欠航は私たちの責任ではない」とあっさり追い返されてしまいました。仕方がないのでフライトまでの3日間はロサンゼルスを観光することに。といいつつハリウッドやサンタモニカ、ベニスビーチなどしっかりひとり旅を楽しみました。2日後、ようやくメキシコのロスカボス(La Pazから3時間ほどに位置する町)行きの飛行機に搭乗!そして到着!ここからLa Pazまでは長距離バスを利用していくのですが、空港のバス停にLa Paz行きの文字がない。聞いてみると先日のハリケーンで道が壊れバスが動いていなく、次の便は2日後までないと告げられる始末。もはやここまで来ると笑うしかなく、3日間をロスカボスで楽しむことを考えていたその時、メキシコ人の友人からロスカボスに実家があるから泊まってもいいよとの救いのメッセージが、感謝の一言につきます。そんなこんなで想定外の3日間のホームステイを経て、やっとの思いでLa Pazにたどり着いたのでした。

  

第2回

今回は、ここLa Pazでの研究生活の始まりのついて書いていこうと思います!

初めて研究室の先生にお会いした際に「どんなテーマで研究がしたい?」と聞かれたので「『ジャトロファ』というバイオ燃料植物の『乾燥地でのバイオ燃料』としての利用に関する研究がしたい」答えたのですが、私の言語力が拙かったことに加え、研究目的があまりにも広義で明確な研究計画ではなかったので、「私が考えたプランで実験しなさい」と別のプランを渡され、次の週に方針発表をするようにと言われました。せっかくの用意してもらった研究計画ではあったのですが、『せっかく留学したのに用意された研究をただやらされるだけではダメだ!』と思い、より具体的な実験計画を作るために、自分自身が興味を持っていること、どういったファクターをつかって実験を行いたいことなど、過去の論文やその他の文献を読みあさりました。

そしてプレゼン当日は、先生が用意してくれた実験計画と自分が考えた実験計画の両方を発表するという少々強引な手段で、自分の考えを自分の口で、自分の言葉で伝えました。

日本ではこんなにも自分のことを主張することはなかったのでプレゼン後のコメントにすごく緊張していましたが、先生も学生も僕の考えた実験計画に「興味深い!ぜひやってほしい!」とコメントをくれ、僕の研究計画を褒めてくれました。日本にいた頃は、ただ何となく先生に言われたことをこなすだけの研究をしていたのだと、この研究計画を通して気づき、これからはもっと主体的に学び、自分の考えをもって研究活動に取り組まないといけないと学び、反省しました。

そんなこんなでどうにか研究計画ができ、いよいよ実験開始!いざ圃場へ!そこで研究所が用意してくれた圃場と対面したのですが、それは想像よりもはるかに広く、実験の規模も日本での実験よりも大きく行うことに。そんな経験はなかなかできないのでとてもありがたいのですが、もちろん実験の準備をするのは自分!ここから約1か月に及ぶ圃場作りの日々が始まりました。まずは草抜きから始まり潅水用の大きなタンクを設置し、水を汲みだすポンプのための電気を引いて実験に使う大量の砂を濾したり炭を砕いたり。かなりの肉体労働、おまけに炎天下!精神的にも肉体的にも鍛えられ、きっと帰国するころにはたくましい自分になっていることでしょう。皆さん、ご期待ください!

  

第3回

今回は僕の住んでいるLa Pazを少し紹介したいと思います!

La Pazはメキシコの西部にある南バハカルフォルニア州のキャピタルシティです。キャピタルといってもメキシコの中で一番人口の少ない州なのでとても穏やかでゆったりとしています。そんなLa Pazは12月にはいった今でもまだまだ日中は気温が高く、半袖からなかなか衣替えできません。こういった気候からバカンスをしに訪れる観光客が多いのもこの町の特徴です!海岸沿いを歩いていると頻繁に英語を耳にするので、ここはメキシコじゃないんじゃないかと思うほど。そんなLa Pazでの僕の週末はだいたい海!今は研究のため週に1度しか休みがないのですが、日曜日は泳いだりビーチバレーをしたり、先日はアシカとシュノーケリングをしたりと海を盛大に満喫しています!!研究ももちろんですですが、やっぱり楽しみがないとですよね!そんな素敵な町、La Pazはメキシコ海外実践教育プログラムなどでも訪れるチャンスがあります!みなさんもぜひ、使えるチャンスは使って、大学の机上では経験できない刺激的な日々を体験してみてください!

第4回

突然ですが皆さんはメキシコという国にどういった印象を持っていますか?乾いただだっ広い大地にサボテンだけが生えている荒野、大きな帽子を被ってテキーラをもっている髭おじさん、それとも凶悪犯罪を繰り返すマフィア集団のアジト?日本にいるとメキシコという国は遠く、日本と大きく異なる厳しい環境であるというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?もちろん僕も2年前にメキシコ海外実践教育プログラムでメキシコを訪れるまではメキシコのイメージなんてタコスくらいしかありませんでした。そんな僕も今回でメキシコに来るのは3度目。来る前は不安でいっぱいだった僕がこんなにもこの国に惹かれるようになったのは、人々の愛が溢れる国だからだと思います。朝の通学中に名前も知らない異国の人に笑顔で挨拶をくれる通りすがりの人、居住届けの申請に通った役所で僕が来ると別の人が受付を担当していても帰り際にわざわざ「ようHijo (息子という意味)、研究の調子はどうだい?」などと声をかけてくれる職員さん、毎日僕の顔をよく見て健康チェックしてくれる研究室の友達、そして家族同様に接してくれるホストファミリー。そういった様々な人の心の温もりが、僕の心の様々な不安を解きほぐしてくれているように感じます。なので日本と大きく異なる環境ではあるのですが、どこか気持ちが軽く、毎日自然と笑みがこぼれる、そんな生活を送っています!

みなさんもぜひ、「知らないから、わからないから、できないから、行かない。やらない。」ではなく、知らないからこそ一歩を踏み出して"挑戦"してみてください。きっと新しい世界が見えて、人生を豊かにしてくれる素敵な出会いがそこにはあるはずです。

 

第5回

今回は、メキシコのクリスマスについて紹介したいと思います!

僕はこちらでは2年前の3年生の時に参加したメキシコ海外実践教育プログラムの際にお世話になったホストファミリーに再びお世話になっていて、9月からホームステイをしています。日本ではクリスマスといえばカップルで過ごすイメージが強いですが、メキシコではほとんどの人が家族で過ごすようで、僕のお世話になっている家族もパーティーの準備に前日から料理や飾りつけに大忙し!もちろん僕も料理のお手伝い(主に味見)!人生で初めて七面鳥の調理をしました!これがめちゃめちゃでかい!しかも2匹!見ているだけでお腹がいっぱいになりそうでした。 クリスマスのメインイベントはみんなで食べる晩ご飯!まだかまだかと夕方からお腹を空かせながら準備していましたが、一向に始まる気配はなく、みんなせっせと料理をしています。気が付けば23:00。もしかして24日ではなく25日の夜にパーティーはするものなのかと思って寝ようかなと考えていたその時、続々と人が家に集まってくるじゃないですか!そして気が付けば僕の目の前には料理が並んでいました。 そして日付が25日になった瞬間。「フェリスナビダ~ド(スペイン語でMerry Christmasの意)!!」とみんなが互いにハグをし、相手の幸せを願い合います。クリスマスの挨拶が終わったらようやく晩御飯!朝からずっと仕込んであったメインの七面鳥やそれぞれの家から持ち寄った料理をいただきました。2時間ほど談笑した後はプレゼントタイム!どうやらメキシコではサンタさんがプレゼントを持ってくるのではなく、家族同士で贈り合うのが一般的なようで、僕もホストファミリー1人1人にあったプレゼントを贈りました!家族がいっぱいだと大変ですが、その分もらえるのも嬉しいですね。

 

第6回

今回は休暇をもらって南米はペルーに旅行にいってきたのでその時のことについて紹介したいと思います!

そもそもなぜペルーに行こうかと思ったかというと理由は色々あるのですが、そのうちの一つに自分の語学力を試したいというのがありました。9月からメキシコでの留学生活が始まって半年が経ち、そこそこ自信がついてきたスペイン語の言わば実践編です。宿泊はいろんな人と交流できることと、なにより値段が安いという理由からゲストハウスを選択!!はじめてのゲストハウスは緊張しましたが、やはり自分と同じように旅している人と巡り会えるいい場所!様々な話や情報・意見交換など、これまでの滞在のなかでおそらく一番スペイン語を話したんじゃないかと思います。しかし、簡単にはいかないのが海外。同じスペイン語圏でも言い回しや単語の意味が想像以上に異なっていて、お互いに?が浮かぶことも結構ありました。僕の使っているスペイン語は思っていたよりもメキシコ訛りだったみたいです。それでもジェスチャーや絵、写真などを駆使してどうにかこうにか楽しめ、メキシコまで帰ってこれたので、とてもいい経験になりました。やっぱり言葉も大切だけど一番は心ですね!伝えたいという気持ちがあればどうにかなるようになると思いました。みなさんもぜひ、チャレンジしてみてください!言葉ができないからという理由で行かないのはもったいないですよ!!わからないからこそ体験できる面白さや出会い、発見がきっとそこにはあるはずです!

第7回

メキシコ北西部生物学研究所(CIBNOR)での7ヶ月半の研究活動を終え、チアパス州のTapachulaというグアテマラとの国境の町にあるメキシコ国立農牧林業研究所(INIFAP)にてインターンシップをしています!今回は先日行いましたCIBNORでの研究成果報告会の様子について報告をしたいと思います。

研究の最後には予定していた報告会でしたが、いざやることになるとそのハードルはなかなか高め。最後の最後まで実験したりデータ解析したりとバタバタしている中のプレゼン作成。使用する言語は英語でもいいとのことでしたが、聞いてくださる全ての人が聞きやすいためにもスペイン語を選択。プレゼンを作っている最中に何度か挫折しかけましたが、そこはこの7ヶ月半で鍛えられたタフさと意地でどうにか乗り切りました。本番当日はこの数か月間の成果がどのように評価されるのか、自分がした研究に興味を持ってもらえるか、自分の語学力で伝えることができるかなどとたくさんの不安がありましたが、出席してくださった皆さんがとても暖かく、プレゼン後たくさんのコメントや質問をいただき、無事に報告会を終えることができました。この7か月半で、はじめはスペイン語もおぼつかなかった自分がこうやって研究成果を報告することができたのは、身近なメキシコの人だけでなく、国内外からも多くの支えがあったからだと、自分の周りの環境にとても感謝しています。僕の留学はまだ続きますが、このように支えてくれる人がいると思うととても心強く、残りの3か月も自分らしく楽しんで頑張れそうです!

 

第8回

今回は、自分が出国してから今まで地道に日本を発信する活動として行ってきた「日本語教室」についてご紹介したいと思います。

自分が日本を発信するのに日本語を選んだのは3年前に参加した鳥取大学の「メキシコ海外実践教育プログラム」の中で行ったアンケート調査がきっかけで、アンケートの最後の「何か最後に質問がありますか?」という欄に「〇〇は日本語でなんていうの?」「日本語をもっと知りたい」というような返答が多い印象を受けたからです。太平洋を挟んだメキシコでも日本の文化はとても人気で、特に食文化や武道、アニメ等は熱烈なファンも多く、それらを通して日本語を目にすることもちらほら。メキシコでの日本語の人気は高く、現地の大学では土日にも授業が開講されるほどです。せっかくメキシコに長期で滞在するなら何か自分も日本人として発信したいと思い、日本語教室をすることにしました。現地の大学で行われている日本語教室のアシスタントとして定期的に授業に参加したり、ホームステイ先の家族やその友達に基本的な挨拶やひらがな・カタカナを教えたりと活動しています。留学したのならその土地にどっぷり浸かるのもいいですが、意外と自分の言語を積極的に使うことはメリットも多く、今ではホームステイ先の家族と簡単な挨拶は日本語で会話できるようになってきていて、なんだかメキシコにいるような日本にいるようなで居心地の良さが増してきています。ホームステイ先の家族にも好評のようで、家族同士で使っていたり、新しいセンテンスを教えると積極的に使って楽しんでくれています。自分のお気に入りは電話に出るときの「もしもし?」。 メキシコ人が「もしもし?」と電話に応答する姿はなんだかかわいい!個人的に好きなのでいろんな人に教えてます。

留学をしているとなにかを受けとることが多く、とてもありがたいのですが、同時に受け取ってばかりでは申し訳ないと思うことがあるかと思います。そんな時、なにか自分から発信できることの一つとして「日本語」はとてもいいツールだと思います。言語はあくまでコミュニケーション上のツールだと思っていますが、それをきっかけとしていろんな人とつながったり、仲良くなれるということにはとても魅力を感じます。みなさんもぜひ、留学する際は自身が発信できる何かをもって日本を飛び立ってみてください。想像を超えた出会いや何倍も楽しい生活に巡り合えるかもしれません!

自分の留学も気が付けばあと2か月ほど。苦労することもたくさんありますが、これまでたくさんの人に支えられて楽しくやってこれました。残りの帰国までの期間も自分にできることを一生懸命に取り組めるよう体調管理だけはしっかりしたいと思います。

 

第9回

メキシコ、チアパス州のTapachulaというグアテマラとの国境の町にあるメキシコ国立農牧林業研究所(INIFAP)でのインターンシップを終え、La Pazに戻り、帰国前最後の研究および出国準備をしています!今日は自分が出国してから今までの生活で感じたことを少しご紹介したいと思います。

8か月間の修士論文研究と3か月間の研究所でのインターンシップを終えたいま、それぞれの活動で研究成果や経験が得られたことはとても良かったと感じていますが、それ以上にこの一年間は「考える時間」が多くあったことが自分にとって非常によかったなと感じています。

日本とは全く異なる環境で違う価値観や文化、人と触れ合う中で自分はこれから何をしたいのだろう?どう生きたいのだろう?と考える日々でした。というのもメキシコの人々は本当に明るくて、老若男女問わずそれぞれの人生を楽しんでいるように感じ、一人一人がとてもエネルギッシュでいきいきとしていて、そんな姿にどこか自分も心満たされ、動かされる部分があり、いつしか人々の愛溢れるメキシコに魅せられていました。

日本で過ごしているときは毎日が嵐のように過ぎていき、気が付けば大学を卒業、自分がどうしたいかも考える時間もなく、決めることもできず大学院に進学。周りの友達が就職し、それぞれ頑張るカタチを見つけ、一人前の大人として社会に出て働いている姿に「すごいなぁ」と言いながらどこか心の中に焦りや劣等感を抱いていました。

そんなときにメキシコに留学して様々な価値観に触れることができ、自分自身について考え、自分の生きかたを探し求める時間があったことは、僕自身を様々な意味で救ってくれた経験となりました。

留学前は様々な不安がありブルーになった時期もあったけれども、今では大学院を1年間休学してまで留学するという選択肢は間違っていなかったと心から思えています。

そしてこの留学は自分一人では絶対に1年間も楽しんで頑張れることはできなかったので、協力してくれた人、応援してくれた人、LINEやメールをくれた人、たまたま町で出会った人、すべての人に感謝しています。

特に、家族や友人、そしてメキシコの家族には本当に助けられました。本当にありがとうございました。この一年間、たくさんの人から受け取った愛を、今度は自分が何倍にもして返せるような、そしてその愛が連鎖して世界に幸せが広がるような、そんな人生にしたいなと思います。

 

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