14期 ケニア・ウガンダ

 こんにちは!私はAlphajiri(ケニア)、NACCRI PRiDe of JICA(ウガンダ)でインターンシップをしています。
 「農村部の貧困って実際どうなんだろう?」、「解決するためには何が必要なのだろう?」という単純な疑問とアフリカに行きたいという気持ちだけで留学することを決めました。
 私はトビタテに応募することを決め、準備を進めていく中で、自分が何をしたいのか?何に興味があるのか?なぜ、そう思ったのか?など、自分でもよく分かっていないところに気づくことができました。少しでも留学をしてみたいと思っている人は、先ずは大学や先輩に相談してみてください。挑戦することは、この先の人生の糧となり、いい経験になることは間違いありません!

 

第1回

 ケニアで日本人が代表を務めるAlphajiri(アルファジリ)という貧困問題を解決しようとしている企業でインターンシップをしています。
 Alphajiriでは、零細貧困農家さんと大豆栽培の契約を結び、卸や自社店舗で加工や小売の、いわゆるアグリビジネスをしています。主な事業は、次の3つです。
 1.農村の基盤づくり:農業技術などの教育、お金の貸付、家具や農業資材のローンを組んで提供するなど
 2.ケニアでのサプライチェーンの確立:契約農家に作ってもらった大豆を、大手中国豆腐メーカーに卸したり、自社店舗で加工したり、直接消費者に届けるという流れ
 3.八百屋:八百屋を経営し市場の確保と市場価格のコントロール。さらにデリバリー事業も開始
 このような会社での私の仕事は、主にお店での会計、味噌など農家さんにインパクトを出せる商品の宣伝、お客様への接客です。また現在は農家さんの元を訪れ、味噌の宣伝用のプロモーションビデオを作成しています。

 【ケニア農村の貧困問題の現状と課題】
 Alphajiriは、ミゴリというナイロビからバスで11時間くらいかかる農村に住む農家さんを対象としています。農家さんが口をそろえて言うのが、「お金が欲しい」。その理由は・・・
   ・農業設備・資材に初期投資できず、安い作物を低収量で生産するしかない
   ・教育や情報不足により、新しい作物の栽培、販売先確保が困難
   ・労働力や資金の制限から、適切な圃場管理、すべての圃場を使いきれていない
   ・国民健康保険料が納められず、医療を受けられない

 私はこの解決方法として、「資本を共有し有効活用できるような機能する共同体を創る」ということを考えました。この解釈があっているかどうか、正直分かりませんが、実際に訪れてみて思ったことです。

フィールド・オフィサーと 八百屋での仕事風景 お店の様子

第2回

 こんにちは。8月末までケニアのスタートアップ企業でインターンシップ活動をしており、9月からウガンダのNaCCRI(国立作物資源研究所)でJICAコメ振興プロジェクトフェーズ2 (PRiDe Ⅱ)にインターンシップをしています。
 主な活動は次のようなものです。
 ●稲生産技術普及活動への同行  ●モニタリング調査  ●新技術開発のサポート  ●独自調査
 
 10月に、1週間ほど西ナイル地域への出張に同行しました。西ナイル地域はカンパラ(ウガンダの首都)から7,8時間ほどかかる場所です。またコンゴ民主共和国、南スーダンの境界沿いです。この地域は陸稲品種が推奨されています。
 この出張では、JICA PRiDe普及活動のインパクト、対象農家さんの生活を実際の目で見て知ることができました。それぞれの普及活動によってスピード感があり、収入増加によって農家の暮らしの向上にインパクトがあることを体感しました。調査対象の農家さんの場合、収量は増加しても売り先はあるのだろうか?という疑問を持ちました。実際のところ場所や人によって違いますが、基本的には歩きや自転車、バイクタクシーで1,2サック(1サック=約100キロ 米の場合)もの作物を運びます。中には一度に売る分をすべて運び、何日かかけて売る方もいらっしゃいます。その場合は倉庫/1日3千ush(1Ush(ウガンダ・シリング)=約0.04円)を借りて保管します。それでも、このプロジェクトの対象農家さんは比較的条件が良い農家さんなのです。例えば、土地を持っている、学校に通っていたなど。しかし、地域の約半分の人たちは土地をほぼ持っていないので、日雇い労働で農作業の労働者として一日3千~5千ushで働いています。おそらく学費の捻出にも苦労してらっしゃるのだろうと思います。
 皆さんがイメージするように、ウガンダの農村では、土でできた家、不衛生な環境下で生活しています。また学費捻出に苦労している方々も多いです。このような情報だけだと、貧困のイメージは暗いように捉えられてしまうのではないかと思います。しかし、実際には生活は厳しい時もありますが、現地の方々は明るく、向上心のある方ばかりで、私が持っていたイメージとは違っていました。農村の貧しい暮らしの中に、幸福な社会もあるのだなあと感じました。農村の貧困=悲しい、暗い、最悪なイメージにしてしまうのは違うと思います。
 農家さんの抱えている問題や悩みは沢山あると思います。その中でも、私は「既存の農村コミュニティーを活かして収入を向上させ、衣食住と子どもの教育環境を整える」ということを将来できたらなと考えています。
 貧困問題というのは国や地域、その地域の中でも要因が沢山あります。日本にいる時、農村の貧困地域をだいたい同じと仮定して、貧困問題を解決するにはどうすればいいのだろう?と考えてきました。同じように見えても、課題や取りまく環境は違い、それぞれの解決方法があると感じました。論文やネットには現地の状況が書いてあることはありますが、現地に行くことで分かること、その経験を活かしてネットから得られる情報もあります。今回、実際に現地に行くことの意義を感じました。
 私は大学1年の時から留学したいと考えていましたが、3年のタイミングがベストだったなと思っています。なぜなら、知識や経験を日本にいる間で詰められたからです。3年生のタイミングであれば、留学に対し色々な視野を持ち、違和感をもったり課題を発見したり、さらに深く考えることもできるのではないかと思うからです。

普及活動_青空教室 独自調査の様子 グループ学習_普及技術の実践

第3回

 私がアフリカを意識したきかっけは、中学3年生の時に「少女とハゲワシ」という1枚の写真を見たことでした。アフリカの貧困問題には教育、政治、文化、宗教、農業、保険、医療、水などなど様々な要因が複雑に絡んだ難しい問題だと知りました。根本的な理由が分からないまま、具体的な状況や解決策を考えつくこともできませんでした。
 鳥取大学に入学してウガンダ研修に参加し、「将来、アフリカの貧困問題の中でも、ウガンダの農家さんを対象とした活動がしたい。」と思うようになりました。この研修での経験を通して、農業生産に焦点を当てた支援活動は多くあるが、流通や販売、マーケティングなどバリューチェーンやサプライチェーンにフォーカスした支援は多くは行われていないと感じ、そこに力をいれた活動がウガンダ農村部には必要だと考えました。それを実際に行っている企業がアフリカのケニアに存在し、実際に働いてみたいと思い、トビタテ!留学JAPANに応募することにしました。
 トビタテ留学ではまず、ケニアのアルファジリというソーシャルビジネスの会社でインターンシップをしました。この会社では「零細小規模農家との大豆の契約栽培」、「大豆の卸売業、加工業、小売業」と「農村の相互扶助の仕組みづくり」などを行っていました。しかし、ここでの仕事は基本的に休日は無く、朝8時から夜10時、11時までという過酷な労働環境でした。「ここまで自分を犠牲にして貧困問題を解決したいのか?私が本当にやりたいことか?」が疑問になってしましい、ずーっと考えていました。自己肯定感も下がり、私の軸がぶれた時でした。
 次の留学先はウガンダで、国の研究機関で稲生産技術の普及活動に携わっています。また単独で質問表を作り、家計調査なども行っています。「ウガンダ/アフリカという未知の世界」、「発展途上を肌で感じられる環境」、「自分のアクションの結果がすぐに感じられる環境」という特殊な世界に魅了されワクワク感があります。起業することへの不安や恐れはまだありますが、やはり起業に挑戦したいなと思うようになりました。
 アフリカに来る前から今も、#アフリカ #ウガンダ #農村部 #農業 #絶対貧困…etcというキーワードは同じです。でも、農家さんの環境はそれぞれかなり違うなと感じました。だからこそ、それぞれの地域に適したビジネスモデルが必要だと感じました。そのためには、農家さんの顔や状況をよく理解することがまず一番重要なのではないかと思うようになりました。そして、ついに12月1日から2週間ほどの田舎への出張調査に行けることになりました。そこで自分の思いが触発されるような体験ができることを楽しみにしています。
 今の私は、「アルファジリのビジネスモデルは自分には合わなそう、別の可能性?」「農家さんの顔がすぐ浮かぶくらい、農家さんのことを理解しよう」「いきなり起業ではなく、一度3年ほど企業で働こう」留学中に様々な経験をして、考えに深みがでたかなと思います。もしかしたら遠回りになるかもしれませんが、留学前よりも1皮、2皮むけたかなと思います。

研究所の水田圃場の様子 洪水で道路が冠水した時の様子 初めての農家訪問 有機栽培圃場所のの見学