H25年度ラパス便り第10回

ウィークリーレポート

今週は鳥大の乾燥地研究センター鍋田先生の指導のもと、メキシコで通算6つめとなるフィールドワークワークを行った。今回の内容は、12年前に実施された鳥取大学とCUBNOR(メキシコ北西部生物学研究センター)とで行われた農村開発プロジェクトを見直し、新たなプランを自分たちで提案するというものである。そのため、以前のプロジェクトに参加したエル・カリサル村の農家への聴き取り調査を行い、またCONAGUA(水管理組合)やSAGARPA(農林水産省)などの国管轄機関の方に、現状において一般農家にどのような支援を行っているのか等の説明をして頂いた。

聴き取りによると、以前のプロジェクトでモデルとなった農家では、鳥大側の提案した技術がきちんと導入、維持されており、この点に関しては成功していると言えると思われた。しかし一方で、上手くいっていない農家も多くあった。ただ単に農業の技術を伝えるだけでは、農家の生活向上には繋がりにくいようである。

自分は昨年別の海外派遣プログラムでタイに行き、そこでも農家調査を行った。その経験からいくつか感じることがあった。特に強く思ったことは、 人と人との繋がりの重要性についてである。狭い地域における農家同士の繋がりだけでなく、農家と農業機関の繋がりも、もちろん重要なのである。政府の援助体制が複雑なメキシコでは、よりこの協力体制についても気を配る必要があるだろう。これらが原因となり、技術普及を妨げているのではないかと思われた。

改めて、プロジェクトの成功における、人と人との繋がりの大切さを感じたフィールドワークだっ
た。(農学部3年T.K)


エル・カリサル村での聞き取り調査の様子



 

ラパスについて

11月9日からホームステイが始まりました。

私のホームステイ先では、朝食はケサディージャがよく食卓に並びます。ケサディージャとはトルティージャという小麦やトウモロコシからできたクレープのような生地に、チーズやハムが挟んであるメキシコ料理です。そして、デザートにピターヤというサボテンの実がでます。ピターヤは真っ赤で丸く、大きさはテニスボールより少し小さく、酸味があるさっぱりした味のフルーツです。

また、メキシコの誕生日会では誕生日の人が一番初めにケーキにかぶりつき、親しい人が頭を押し、顔にケーキをつける習慣があります。そのあとにケーキを切り分けて食べます。日本では誕生日にハッピーバースデーの歌を歌いますが、メキシコでは「マニャニータス」という歌が歌われます。マニャニータスとは「朝」という意味で、昔からメキシコで歌われている伝統的な歌です。昔は朝に誕生日のお祝いが行われていたそうですが、現在は夜や夕方にパーティを行っています。

あとわずかで帰国ですが、悔いが残らないよう頑張りたいと思います。(農学部3年H.K)


ピターヤの実。真っ赤な果肉の中に、小さな柔らかい黒い種がいくつもある。


皮を剥く前のピターヤ。サボテンの実らしく、皮は棘で覆われている。

 

 

コラム

メキシコでの生活も残り1ヶ月を切りました。いよいよ先週からホームステイも始まり、ラストスパートと言ったところです。

さて、自由雑記枠の【コラム】ですが、今回は何についてお届けいたしましょうか。何が相応しいかよく分からないので、今私の身の回りで起こっていることを淡々とお話ししようかと思います。

今、私はホームステイ先の居間にてこの原稿を書いています。私のホストファミリーは、私より1つ年下の1人娘のいる3人家族です。今私と同じように居間のテーブルに全員腰かけて思い思いのことをしています。正面に座っているホストシスターは大量の宿題を消化中。基本的には自分の部屋ではなく、この場所で宿題をしています。

私の左隣りにはホストファザー、右隣りにはホストマザーが座っています。ホストファザーは先日購入したタブレット端末の初期設定をしています。この3連休(11月16日(土)~18日(月))はメキシコ革命記念日で、お店と言うお店が大安売りでした。私も買い物について行ったのですが、テレビを3つも購入している家族がいて唖然。並大抵の大安売りではないですね。あ、設定が終わったようです。デスクトップをバットマンの画像にしてご満悦のご様子。

右隣のホストマザーは何やら手芸の真っ只中。何でも、知り合いが近々結婚式を挙げるらしく、その前祝に女性だけで行うパーティーに持って行くブローチのようなものを製作中のようです。(写真1)

 この材料を買いに行ったときにも付いて行ったのですが、驚いたのはラパスの手芸店の多さ。セントロ(下町)だけでも4か所ぐらいを巡りました。どのお店も驚くほどの充実っぷり。ラパスはお裁縫が得意なお母さんが多いようです。我が家のホストマザーも1つのリボンを探すのに3店、1時間半をかけました。さすがに一緒について来ていたホストシスターもお疲れのようで、2人で抜け出してジュース屋さんで一服したのですが、その時ホストシスターが飲んでいたものがこれです。(写真2)

何でしょうこの緑の液体。……そうです、アルファルファです。食用にはならない単なる牧草だと思っていました、あの時まで。いえ、ホストシスターも牧草だよとは言っていたのですが…。ここまで来たらものは試しと飲んでみました。ひとくち。………はい、口の中が広大な牧場です。美味しい、らしい、です。

と、ここで文字数…ではなく時間が来てしまったようです。今私の足元を飼い猫が二匹追いかけっこをして走っていきました。今回はここで終わろうと思います。ここからのメキシコ生活をこの愉快な家族と楽しく過ごしていきたいと思います。(農学部3年M.S)

         
写真1                                                    
写真2