THE LA PAZ TIMES 2009 No.13

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   先週に引き続き、安藤先生と栗政先生のもとで、残り最後のフィールドワークとUABCSでの授業が始まりました。最後のスペイン語、英語の授業はそれぞれ5分間、7分間のオーラルテストでした。今まで二度、英語の7分間オーラルテストを受けてきましたが、スペイン語のテストは初めてでした。スペイン語において、自分の名前しか言えなかった3か月前と比べて、自分のこと以外にも家族や友人の紹介までできるようになりました。さらに、お店で自分の欲しい商品がどこにあるのか、メキシコ人とのジョークのやり取り、軽い日常会話までできるようになり、日本ではあまりふれる機会のなかったスペイン語が急に身近に感じられるようになりました。多くのフィールドワークで、アンケートや質問を市民にする際にスペイン語を使ったことから、このラパスでの経験はスペイン語なしでは考えられません。そのため最後の授業だと思うと、日本は英語ほどスペイン語にふれる機会がないので寂しく感じました。

  そして、最後の現地でのプレゼンテーションはゴミ問題、インフラ、今年流行した新型インフルエンザに対するパンデミック、食の安全について調査する4つのグループに分かれました。私はラパスから見た食の安全についてプレゼンテーションを行いました。まず初めに、観光客とラパス市民の考えを探るために、Centro(ダウンタウン)、Malecon(ビーチ)、CIBNORにアンケートを取りに行きました。今までのほとんどのアンケートがスペイン語であったため、コミュニケーションをとるのが難しく、「すみません、時間ありますか?アンケートに答えてください」としか話しかけることができませんでした。当然、外国人ともあって怪しまれて断られる時も何度かあり、とても失礼であったことに気がつきました。しかし、自分が日本の学生であり、UABCSで食の安全について勉強をしていることなど、簡単な会話を最初に行うだけで、相手の表情も変わった気がします。観光客にアンケートを取った際には、ほとんどがアメリカ人とカナダ人であったことから、英語を使うので会話の幅が広がり、とても楽しかったです。英語であっても、スペイン語であっても、快くアンケートに協力してくださる方が増え、お互いの国の話や自己紹介も軽く交わせるようになり、自分の内面も以前より充実したように思え、話しかけることに抵抗もなくなりました。

  3か月前と比べると、どこが成長したのかわからないということも時にはありました。しかし、全ての実習を終えて、難しい単語や言葉を辞書で調べて使うよりも、言い方を少し変えることによって楽しみながら伝えることができるということに気が付くことができました。さらに、フィールドワークや授業に関しては、忙しい合間にも楽しむ時は楽しみ、かつ期限までにレポートを終わらせるといった時間の使い方や、自分の意見だけでなく、人の意見も尊重し、そこから新たな見解がみえてくることを学びました。私たちにとって、この3カ月はたくさんの経験を得、とても大きく成長できたことは間違いないと感じています。

  最後に、プレゼン前にドミトリーに来てアドバイスやスペイン語と英語の翻訳を手伝ってくれたメキシコ人の友達、私たちの実習のフォローをしてくださったUABCS、CIBNOR、鳥取大学の先生・職員の方々には本当にお世話になりました。この気持ちをいつまでも忘れずにこれからの日本の生活に繋げていきたいです。3ヶ月間、ありがとうございました。(南都)

 

   そしていよいよ最終フィールドワーク「乾燥地における開発プロジェクトの策定と評価~ラパスにおける保健衛生と社会経済問題~」も始まりました。乾燥地研究センター安藤先生、医学系研究科栗政先生の指導のもと、自分たちで決めたテーマに沿って調査を行うというものです。私たちは、一人一人が一番興味を持った分野についての調査に取り組めるよう、今まで続いてきたフィールドワークの班構成を一から組みなおしました。

   このフィールドワークで、全ての班に共通した調査目標は、「ここ、メキシコ・ラパスに私たちが貢献できることは何か」ということ。今年で4年目になるこのプロジェクトにおいて、私たちは様々なものを得、たくさんの人にお世話になっています。アンケート調査に快く答えて下さる市民の方々、一緒に授業に参加してくれる現地の学生、仕事時間を割いてメキシコの情勢について話して下さる市役所の方々…その全てに感謝の気持ちでいっぱいです。

   一方、私たちはたくさんのことを身につけたものの、この町に何も還元できていないような気がしています。そこで、ラパスが観光地として発展するための提言や、小学校を訪問してゴミ問題についての授業を行うなど、様々な方法でラパスに貢献したいと考えています。ある班は、ラパスにとって必要なものは何かを考えるために、実習が始まる前から何度も市街に出て事前アンケートを行っていました。授業後の疲れた時間に調査へ出かけ、スペイン語の回答を自分たちで翻訳している姿を見て、私も頑張ろうと刺激を受けました。

   実習も終わりに近づいた現在、私自信を含めた多くの学生が、自分たちはちゃんと成長できているのか不安に思っているように感じます。しかし、アンケート調査一つをとっても、どのような形式のアンケート用紙を使うと答えやすいか、話しかける第一声はどのようにするかなど、これまでの実習を通して経験した成功や失敗を最大限に生かし、来たばかりの頃の自分達からは想像もつかないほどスムーズに調査を進められるようになりました。

残された貴重な時間の中で、悔いを残すことのないよう、自分たちが出来ることを最大限に生かしたフィールドワークにしたいと考えています。 (佐々木)

 

 

~メキシコについて~

  とうとう3回目の私のラパス便りの当番が回ってきました!!このことはもうメキシコ生活が終わってしまうことを意味します。今は本当に寂しい気持ちでいっぱいです…。
しかしメキシコの友達が私達のためにパーティを開いてくれるなど、やはり毎日が充実しています!!今回はその時にしたゲームについて紹介します。

  今回開いてくれたパーティではPinataというゲームをしました。Pinataは誕生日などのお祝いごとにやる子供のためのゲームです。遊び方は、まず目隠しをして回転します。そして上に吊るしてあるお菓子の入った箱を叩いて中のお菓子を落とします。


  目隠しをして箱を叩くのはなかなか難しく、みんな苦戦していましたが、とてもみんな楽しんでいました。またお菓子が落ちてくるといっせいにみんなで飛びつくのである意味激しいゲームであると感じました!!
みんなたくさんのお菓子も集めることができとても楽しい時間を過ごしました。
そしてPinataは日本にはないメキシコのゲームであり、ここにも文化の違いが感じられました。
残りわずかの日々ももっともっとメキシコの文化に触れていきたいです!!(新田)


・・スタッフから一言・・

  最終プレゼンテーションを控えたこの週、CIBNORの宿舎では、最終発表にむけて取り組む学生たちの部屋のあかりが、毎晩遅くまで灯されていました。
 「料理を作る暇もないので、テイクアウトのタコスばかりを食べています。とってもおいしいですよ」と話してくれた学生もいます。確かに、宿舎の近くで気軽に買えるタコスや鶏のグリル等、日本ではなかなか口にできないメキシコ料理は、彼らにとってすっかり身近な存在になったようです。しかし、「帰ったらどこに行って何を食べたいか」など、少々日本で食べ慣れた味も恋しくなってきたのでは…?と思われる話題も増えてきました。
 そんな折、宿舎の一同が歓声をあげたのが、閉講式にいらっしゃった本名理事からの「カレールウ」のお土産です!懐かしい味と香りを思い出し、皆「わあっ!」と笑顔で受け取りました。矢部地域学部長も、よく頑張っていますねと一人一人のエピソードに聞き入っていらっしゃいました。
 本名理事の「ビバ・メヒコ、ビバ・ハポン!」のかけ声を皆で唱和し、笑顔で締めくくられた閉講式。メキシコ人学生を招いてのお別れパーティでは、学生たち手作りのカレーが早速ふるまわれるようです。教室での講義は終わっても、このように食をめぐった日墨交流が行われるのは嬉しいことですね。(A.O.)



 

 

~コラム~

 

 今週でついにこのメキシコ海外実践研修も終わろうとしています。メキシコは12月に入り街中がクリスマス一色に染まっています。私たちの宿舎にある守衛さんの屋根もカラフルにイルミネーションで装飾され、CIB事務所にもクリスマスツリーがセッティングされています。ご存知のようにメキシコの方は、祝い事のときに家族、親戚、友達がひとつの家に集まって楽しく過ごすのが風習のようです。そしてクリスマスのお祝いもまた、そのほかのお祝いのように、ひとつの場所に集まり、メキシコの歌や音楽、料理、ビールそしてテキーラといったメキシコの方に好まれているものでお客をもてなすようです。私たちは残念ながらメキシコのクリスマスを体験することができませんが、この3カ月の間に様々な伝統文化を垣間見ることができたと思います。私の中で、día de los muertos という“死者の日”は特別なものとなりました。日々の生活からの私のラパスの方のイメージは“いつも賑やかで楽しそうにしていて、今を楽しく生きていて過去を振り返らない”でした。しかし、彼らはこの日は一晩中お墓で、死者との時を思い出す時間を過ごします。その時に昔を思い出して泣いている方がいました。いつでも楽しそうに振舞っている彼らが、このように昔を思い出して悲しいと感じるメキシコの背景にもとても興味を持つことができました。

  今日は私たちのFiesta Despedidaを今までお世話になったCIBの方、看守さん、もちろんメキシコ人学生の友達も誘って行います。この研修において学術的な習得だけでなく、年代を超えた、さらに国籍も超えた友達を増やすという、私たちにとってかけがえのないものを学ぶことができたと思います。今はっきり言えることは、私たちは3カ月前に日本を出発する前の私たちとは比べものにならないくらい変化しているということです。日本では、突然何か発言を求められてもしり込みしてしまう私たちでしたが、今ではわからなくても何か発言しようとするようになり、初めて会うメキシコの方にも話しかけてすぐに友達になることができるようになりました。この研修でお世話になった方々、本当にありがとうございました。来週日本に帰るのが本当にさみしく、メキシコでやり残したこともたくさんあります。しかし、ラパスで出会った人、UABCS、CIBで学んだこと、集団のラパスでの生活から感じたことを決して忘れることはありません。そして私たちは前進し続けます。(信清)

 

 

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