THE LA PAZ TIMES 2009 No.12

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11月23日~11月27日

月 日

1限
(9:00~10:30)
2限
(10:40~12:10)
3限
(13:10~14:40)
4限
(14:50~16:20)
5限
(16:30~18:00)
11 23 スペイン語21 国際コミュニケーション論⑭ 中南米社会経済
事情⑦
   
11 24 フィールドワーク7:「乾燥地における開発プロジェクトの策定と評価」
~ラパスにおける保健衛生と社会経済問題~
11 25 フィールドワーク7:「乾燥地における開発プロジェクトの策定と評価」
~ラパスにおける保健衛生と社会経済問題~
11 26 スペイン語22 乾燥地科概論⑦ 乾燥地科概論⑧    
11 27 フィールドワーク7:「乾燥地における開発プロジェクトの策定と評価」
~ラパスにおける保健衛生と社会経済問題~
   
 早いもので、メキシコでの実習も残すところあと2週間を切りました。これまでの実習のレポート提出に加え、先日行われた「日墨文化比較」最終講義でのプレゼンテーションの準備などもあったため、日々の課題も盛りだくさんで忙しい毎日を送っています。

日墨文化比較では、日本人2、3人と現地の学生2人のグループに分かれ、1950年代から現在までを10年ごとに区切り、各年代の愛情表現についてグループ毎にプレゼンテーションを行いました。話し合いはもちろん英語で行われ、日常会話ではあまり使われない英単語でのディスカッションに、皆が四苦八苦しながらも楽しく準備が出来ました。本番では、失敗したら申し訳ないという気持ちで震えたり、準備していた音楽が流れないなどアクシデントはあったものの、なんとか終わらせることが出来ました。
 
 


   そしていよいよ最終フィールドワーク「乾燥地における開発プロジェクトの策定と評価~ラパスにおける保健衛生と社会経済問題~」も始まりました。乾燥地研究センター安藤先生、医学系研究科栗政先生の指導のもと、自分たちで決めたテーマに沿って調査を行うというものです。私たちは、一人一人が一番興味を持った分野についての調査に取り組めるよう、今まで続いてきたフィールドワークの班構成を一から組みなおしました。
 

   このフィールドワークで、全ての班に共通した調査目標は、「ここ、メキシコ・ラパスに私たちが貢献できることは何か」ということ。今年で4年目になるこのプロジェクトにおいて、私たちは様々なものを得、たくさんの人にお世話になっています。アンケート調査に快く答えて下さる市民の方々、一緒に授業に参加してくれる現地の学生、仕事時間を割いてメキシコの情勢について話して下さる市役所の方々…その全てに感謝の気持ちでいっぱいです。

   一方、私たちはたくさんのことを身につけたものの、この町に何も還元できていないような気がしています。そこで、ラパスが観光地として発展するための提言や、小学校を訪問してゴミ問題についての授業を行うなど、様々な方法でラパスに貢献したいと考えています。ある班は、ラパスにとって必要なものは何かを考えるために、実習が始まる前から何度も市街に出て事前アンケートを行っていました。授業後の疲れた時間に調査へ出かけ、スペイン語の回答を自分たちで翻訳している姿を見て、私も頑張ろうと刺激を受けました。

   実習も終わりに近づいた現在、私自信を含めた多くの学生が、自分たちはちゃんと成長できているのか不安に思っているように感じます。しかし、アンケート調査一つをとっても、どのような形式のアンケート用紙を使うと答えやすいか、話しかける第一声はどのようにするかなど、これまでの実習を通して経験した成功や失敗を最大限に生かし、来たばかりの頃の自分達からは想像もつかないほどスムーズに調査を進められるようになりました。

残された貴重な時間の中で、悔いを残すことのないよう、自分たちが出来ることを最大限に生かしたフィールドワークにしたいと考えています。 (佐々木)

 

~メキシコについて~

  授業もフィールドワークを除けばあと一日となりました。この“ラパス便り”の記事を書く順番がまわってきて、「いよいよ終わるのだな」と少し哀しい気持ちになります。私の周りでも新しいシャンプーや洗剤を買い渋ったり、お土産を買いに行ったりという光景が見られるようになり、本当に帰国が身近なものになってきました。

  今、ラパスの気候は、日中は日差しが強く少し暑いのですが、基本的に涼しく、鳥取の9月下旬の気候と似ているのではないかと思います。まだ半そでで生活することができるので、ラパスに来てから夏休みがずっと続いているかのような気分です。しかし、そのせいか、私はお土産を買いに街に行ったとき、全く予想していないものに出会いました。それは“クリスマス”です。ほとんどの店はクリスマスカラーに装飾され、さらにあちこちでクリスマスソングが流れていたのです。そうです、あと1カ月もすればクリスマスなのです。残念ながら私たちはメキシコのクリスマスに参加することはできませんが、今回はそのクリスマスについて少し書きたいと思います。

  日本との違いは、クリスマスをお祝いする規模の盛大さが挙げられます。メキシコのクリスマスツリーはとても大きく、また、プレゼントを入れる靴下に至っては顔が入るのではないかと思うくらいの大きさです。今の時期の暑さやプレゼントのことなどを考えると、サンタさんの仕事はかなりハードなものになるのではないでしょうか。そして準備のスピードもかなりの違いです。クリスマスのための準備は、前回記事になっていた革命記念日の前から始まっており、革命記念の打ち上げ花火も、革命を祝っているのか、それともクリスマスを祝っているのかわからないくらい派手に作業をしています。私たちの宿舎にも、1週間ほど前から巨大なクリスマスツリーが堂々とそびえ立ち、警備員の部屋は可愛く飾り付けされています。

  さて、日本ではクリスマスを友達と、もしくは恋人と過ごす!と考えている人も多いのではないでしょうか?しかしメキシコでは違います。メキシコ人はクリスマスを必ずと言っていいほど家族と過ごすのだそうです。現地の友達にいたっては、今週末、家族と食べるための七面鳥をわざわざ遠くの街まで買いに行くと張り切っていました。

  メキシコ人は、お祭り好きで情熱的、さらに大半がキリスト教徒であるので“クリスマス”というイベントをこれだけ大々的に行うのもうなずけます。しかし、私はこのクリスマスの買い物の話を友達から聞いたとき、クリスマスまでの日々は友人や恋人と楽しみ、当日は家族でのんびり過ごすというのがメキシコのスタイルなのではないかと感じました。大抵の大きなイベントを家族と一緒に過ごすという彼らの生活を通して、家族とのつながりをとても大切にするメキシコ人の姿が目に見えるようです。私も日本へ帰ったら、一番に家族に「ありがとう」と言いたいです。 (土佐)


・・スタッフから一言・・

  街の中心(Center of the town)を意味する「セントロ」は、ラパス市内で最も賑わっているエリアです。ラパス郊外の景色は、見渡すかぎりの水平線と、空に向かってそびえ立つサボテンが目の前に広がり、何とものどかで心安らぐものですが、一日じゅう熱気のあふれるここセントロの光景も、私たち日本人にとっては異国情緒を存分に感じられて大変興味深く映ります。

 メキシコでセントロの条件としてあげられるのが、「市役所・教会・公園が揃っている」こと。これら3つを取り囲むように、さまざまな商店が軒を連ねています。教会前の屋台村では、それぞれのテントに貼られた鮮やかな宗教画のもと、商人達は威勢よく声を張り上げ、時にお金儲けを忘れたかのように長いおしゃべりを楽しみ、いきいきと動き回っています。お菓子の袋をさげた子供たちはその足下を駆け回り、長テーブルに集まった人たちは、一斉にカードゲームに興じているよう。老若男女が自分たちの時間をゆっくり楽しむために集まるのがこのセントロなのです。

 行政・信仰・商業が、市民の生活を形づくる三本柱として組み合わさる様子が見てとれるこのエリアを、メキシコ訪問の際はぜひ一度歩いてみることをお勧めします。(A.O.)

 



メキシコ名物ソンブレロ。屋台の店主は「写真を撮るの?
ちょっと見せてよ!」と皆フレンドリーです


 


木陰でビンゴゲームに興じる人たち。
歓声が途切れることはありませんでした

 

~コラム~

  今週は、私たちのグループはラパスのゴミ問題について調査しました。ラパスに来て一番最初に驚いたことに、ゴミの分別が行われていないということがありますが、今回はそれらのゴミがどこに行っているかを実際に見学しました。
ラパスではゴミが焼却されずに、集められたゴミが投棄場へ山積みにされています。そしてそこには毎日のように、分別されていないゴミから金属やプラスチックを回収しようとする人々が集まってきます。それらはキロ単位で換金され、彼らの収入源となるのだそうです。

日本のゴミ事情もあまり知らないまま、実際にメキシコ人の生活と廃棄物との関わり方を目の当たりにし、人々の話を伺って、ただ単純に「ゴミの分別は大切だ」とこのメキシコで提言できるかという疑問と、国内外の環境問題に対する自分の無知、考えの未熟さを感じました。そしてこの気持ちも、時間が経つとともに薄れてしまうかもしれないと思うと恐ろしくなります。しかし、廃棄物にまつわる数々の問題が山積みである現在、自分自身を偽善者として片付けるには早急であること、また、考えばかりが先だって学んだ内容を机上の空論で終わらせないことを頭に置いて、小さいことでも環境のために自分たちができることを「たまに」ではなく「絶えず」続けていくことが本当に大事なのではないかと感じました。

日本には「もったいない」という言葉があります。が、経済大国である日本は、そして日本人である私自身は物を本当に大切にできているのだろうか?と考え直し、ゴミを減らすことに努めることにしました。メキシコではたくさんのゴミが目に入りますが、自分の国を振り返ると、やはり多くのゴミが捨てられています。日本独自の「もったいない」という言葉に自信をなくしました。
きれいなことばかりに目を向けていては、目だけでなく心もきれいごとしか見えてこないのではないかと自分を振り返ってとことん考えさせられました。
このメキシコ研修では、環境について考える時間を得られたことが私にとっての収穫です。日本に帰ってからの、先のことが見えてきた気がします。(名嶋)

 


~ La Paz Times 特別コラム~


  メキシコ海外実践教育カリキュラムでは、学生の教育が中心となっていることは言うまでもありませんが、フィールドワークや現地調整のために複数の教職員がこのカリキュラムに参加しているのはご存知の通りです。本カリキュラムでは、鳥取大学学生とUABCSやCIBNORとの学生交流だけでなく、教職員同士の交流にも力を入れています。ラパス市民に鳥取大学のことをよりよく理解してもらうためにも、また長期学生派遣プログラムを継続していく上でも、教職員の国際交流は重要なファクターです。

  去る11月29日(日)ラパス市内でトライアスロンの大会がありました。トライアスロンと聞いて鳥取を思い出される方も多いのではないでしょうか?そうです、鳥取県米子市皆生温泉は、日本トライアスロンの発祥の地。となるとラパス市内でのトライアスロン大会は、鳥取大学関係者としては見逃せないイベントです。ラッキーなことに(?)ちょうど今週のフィールドワーク担当の医学系研究科K先生は、皆生大会にも4回出場という経験の持ち主です。ラパスでトライアスロンの大会があると耳にし、大急ぎで自転車やヘルメットを調達。サボテンのトゲが突き刺さってパンクしていた自転車を、にわか修理して「特別出場」です。

  今回行われた大会は小規模なもので、フルコースで、水泳1km、自転車30km、マラソン8kmという内容。ハーフコースもあり、子供や高校生、リレー形式での参加もありました。K先生はもちろんフルコースでの出場です。
当日、ラパスにしては珍しく薄暗い曇り空。気温もいつもより低く、肌寒い中でのレースとなりました。参加者には7時集合、とアナウンスされていたにも関わらず、主催者や参加者がボツボツ集まり始めたのが8時過ぎ。言われたとおりに真面目に集合時間に到着したのはK先生だけ。8時スタートの予定が大幅に遅れて、実際には9時半スタートという、これぞメキシコタイム。フルコースへの出場者はK先生を入れて4人。その他は、ハーフコースへの参加や、子供や高校生のリレー形式での出場でした。

  終了式でメダル授与のセレモニーがあるかと思いきや、ハーフコースの選手達が完走すると、フルコースの選手がまだ自転車競技も終わらないうちに、メダルを渡し、三々五々と解散。自転車とマラソンコースは、一般の道路を使用しており、警察官がコントロールするわけでもなく、走行者がいないのを見計らって、車が通行するという、なんとも「アバウト」なトライアスロン大会ではありましたが、いつものメキシカンホスピタリティで、日本からの参加者を温かく迎え入れてくれたことは、言うまでもありません。

  肝心のK先生の結果ですが・・・。にわか出場で、サボテンのトゲがささった自転車では、満足出来るタイムがでるはずがありません。おまけに自転車も、マラソンもトラック1周多くカウントされていたとか?国際交流に順位や競争は重要ではないのです。(N.F.)
 
 

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